ハーブの物語 No.3
ハーブに関わることには、何でも興味津々の私。
ハーブ関連の書籍もいつの間にか、かなりの数になっていました。
そこで、そんな書籍の紹介も兼ね、さまざまなハーブの物語を抜粋し、私の感想や独り言も加えて、お届けします。
第2回
出典:
『香りの百花譜』
熊井明子著/主婦の友社刊 1991年
エッセイストの熊井明子さんは、読書を通じてポプリに出合い、以来研究と実践を重ねて、日本にはじめてポプリを紹介された方。その著書は、どれも豊かな感性に満ち、文章の端々から、芳香が漂ってくるようです。
生まれ育った長野県松本市の自然のなかで培った経験と、その後、世界中で触れてかいだ草木の香り。それを、熊井さんの深い知識と自由なイマジネーションでつないでいく、本書は、「香り」「植物」「人間」が好きな人なら、きっと心に響くことでしょう。
ヒヤシンス、スミレ、クローバーなどが香る春の園、バラいっぱいのロウズ・ガーデン、カーネーション、スイレンなどの夏の園、ミント、ラヴェンダー、フェンネルなどのハーブ・ガーデン、キンモクセイ、キクなど、秋の園、匂いゼラニウム、スイセンと冬の園。 四季折々の香りの記憶をたどる内容となっています。
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本書より:〈 〉内は引用
〈林檎とカモマイルの香りも、後者にギリシャ人が「地面の林檎」の別名をつけたくらい、似かよっている。ただし、乾燥後の一重のカモマイルは菊の香りが混じり、八重の花の方が、林檎に近い感じがする〉
カモマイルがリンゴの香り、とは良くいわれますが、ほんとうにそれを実感したのは、ローマンカモマイルの生花の香りをかいだときでした。
熊井さんは、本書で、自分が見て感じたままの感想を述べているので、時に一般に聞き慣れてるいるものと違うこともあり、それが、とても新鮮です。私も、実際に見て触れてかいでみることを大事にしようと思うきっかけとなりました。
〈カモマイルは、日本薬局方ではカミツレと呼ばれている。これはカミッレを表記したとき昔はつまる音の「ツ」を小さく書かなかったためにカミツレとなり、いつか読み方もカミツレとなって現在に至っているようだ。〉
これも、目からうろこの一節でした。なるほど、と納得。このような、他の本ではみられないような、熊井先生の見識と、文学作品を通しての花の香りの記述が、とても興味深く、大好きな本です。
【随想】
一番好きなハーブは?と聞かれると、カモマイルと答えることが多いです。その時どき、変わったりもするけれど、わたしにとって、一番必要なハーブです。
無人島に、一種類のハーブしか持っていけないなら、迷わずカモマイル。なぜなら、今回バスタイムでご紹介しているように、ティーにすれば、胃腸にいいし、身体を温めるし、リラックス作用も。そのティーはフェイシャルローションやヘアリンスになるから、無人島で役立つし。そして、なにより、かわいいので、心をなぐさめてくれそう。
一年草のカモマイルは、春から夏にかけてたくさんの花をつけた後、枯れてしまいますが、すぐに抜き取ってしまわずに、こぼれ種を落としておけば、次の年も、その次の年も芽吹いて、かわいい花を咲かせてくれます。
いじらしくて、たくましくて、役にたって、かわいいカモマイル。カモマイルのような女性になりたいなあ、と思いながら、花を摘んでいます。
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執筆:榊田 千佳子
ジャパン・英国ハーブソサエティ会員
上智大学外国語学部卒業。米国留学中にハーブと出会い、現在自宅にて200種ほどのハーブを育て、ハーブの楽しみ方を講演、教室等で提案する。著書:「アロマな毎日~あたらしい自分を見つけるとっておきの7days~」(角川書店)。「ちょっと気ままなハーブのはなし」(誠文堂新光社)共著に、「ハーブ スパイス館」(小学館)など。S&B食品のハーブ専門サイト「とっておきのハーブ生活」を制作・監修中。


